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    Vol.14 「Sayonara PC-9801」

    1997年9月13日 NECは年内に、Microsoft、Intel等が提唱するパソコンの次世代規格「PC97」及び「PC98の一部」※1 に準拠したパソコンを国内発売すると発表、今までの独自規格である「PC-9801」から、 世界標準のAT互換機アーティクチャへ、事実上の路線変更を発表しました。
    私に言わせれば「遅すぎた」発表でした。
    それがなぜこの時点で変更になったのでしょうか?

    Windows95発売の時点でNECがこの方向を打ち出していてば、NECの優位性は現時点で確固たる物になっていたでしょう。
    国内販売品でもネットワークサーバ向けにはすでにAT互換機アーティクチャの製品を投入していますし、 NECは輸出用には当然ですが以前からAT互換機を販売しています。
    米国のPackerd Bell社等も傘下にしていますから、いつでも転換は出来たはずです。


    まず順当にこんなことが考えられます。

  1. 昨今のパソコン低価格化で富士通や外資系パソコンメーカーに価格を合わせざるをえないNECにとって、 製品開発コストで不利なPC-9801アーティクチャパソコンを販売していたのでは、 PC-9801シリーズの販売台数の上昇にも関わらず、当然収益ダウンは避けられないでしょう。

  2. さらにハードウエア的には、 Microsoft、Intel等が提唱するパソコンの次世代規格「PC98」に、現行の「PC-9801アーティクチャ」で対応する事は、 開発コストの面でも不利ですし、 さらに次世代規格「PC98」では「AGP」、「IEEE 1394」等のサポートには互換機のアーティクチャを使った方が、 コスト的にも時間的にも簡単なことが考えられます。

  3. 当然のことながら次世代規格「PC98」に準拠していないと、やがて発売されるであろう「Windows98搭載のパソコン」に、 例の「Microsoft Windows98 Compatible」のステッカーが貼れませんから。

    まあ、Microsoft、Intel等が提唱する「PC98」規格に準拠していなくてもパソコンはいくらでも高性能で高速に動作できるのですが、 メーカーにとっての販売効果には欠くことの出来ない「高性能の証」ですから。


    また、ソフトウエア的にも、 「PC-9801アーティクチャ」専用Windowsをこれまで通りMicrosoftと共同で開発していくことにかかるコストも、 当然ハード的製品価格に跳ね返ります。 なにしろ自腹を切ったNEC専用Windowを、 Microsoftが用意してくれたAT互換機用Windowsとは別価格に設定は出来ないですから、 製品価格に上乗せしなくてはなりませんので、これも大きくNECにのしかかってくることでしょう。

    これらの理由とともに、国民機であった「PC-9801シリーズ」に対する消費者の考えも変化してきていることも 上げられます。

    パソコンといえばと「PC-9801」いった時代は過去の物となったのです。 Windowsが動けばどのメーカーも同じで、ブランドよりも性能と価格、サービスが重要視され始めたことも要因です。

    そんなことよりも、新規のパソコン購入者はWindowsマシンに「AT互換」と「PC-9801」のハードウエア的な違いがあるなどとは 知るわけがありません。


    「98で98で98!」

    ここまでは、在り来たりのことで誰でも思い浮かぶことですので、 少しも私見ではありません。

    なぜこの時点で変更になったのか、重要なことを忘れています!

    世の中(特に日本では)どさくさに紛れてしまえば、判らないと言うことです。

    NECは、「PC98」仕様に準拠したパソコンを国内発売するとのみ発表しています。

    「PC-9801シリーズ」から「AT互換機にします」となどは一般に発表してはいませんので、 パソコンショップを訪れる者は「PC-9801シリーズの新製品」と受け止めるでしょう。

    さらに間もなく「Windows98」が搭載されて発売されるや、 「Windows98」に対応したNECの「PC98」仕様のパソコンという、なんともパソコン通の人間でなければ 訳の分からない宣伝文句が付けられます。


    Windows95が登場したときのNECの宣伝文句を覚えていますか?

    そうです「98で95」です。

    そしていま、危うく「Windows97」になるかと心配していたNEC宣伝部の期待に応えるかのように、 待望の「98で98で98」がまるで太陽系の惑星直列の用に、 あるいはスロットマシンの777の様に並んだのです!

    このチャンスをみすみす逃す手はありません、宣伝効果だけでなく、 今までコスト面で圧倒的に有利と判っていながら「AT互換機」移行が出来ずにいた主力パソコンを「PC-9801アーティクチャ」から この「98で98で98」のどさくさに紛れて一気に片づけてしまおうという作戦にでたのです。

    既成事実さえ作ってしまえば、一般人には 判るはずもなく、「PC98準拠最新機」として販売できます、 当然いままでの「PC-98」という超メジャーな名前は、意味は違っても「PC98」と言う恐ろしく紛らわしい名前で残りますから、 販売店に「PC-9801シリーズの新製品」を買おうとしてやって来たお客様に「はい、これがNECのPC98準拠最新機です」 ってなに食わぬ顔でお勧めできますものね。

    ねっ、良い考えでしょう!


    NECでは今後も、「PC-9801シリーズ」の販売とサポートを続けると表明していますが、 それはあくまでも次期Windows98のNEC版をすでに開発を開始してしまっているからに他ならず、 エプソンが、「PC-9801シリーズ」互換機からあっと言う間に撤退し(まあ、販売台数がNECとは違いすぎますが) 「AT互換機」メーカー移行したかのように、NECの国内販売機の「AT互換機」移行に時間がかかるとは思いません。

    なぜって、大多数の日本人消費者は新しい物、ハイスペックなマシンが好きだからです。
    今更、最新NECマシンを買って、「一太郎2」を動かそうなんてやつはいないでしょう。
    (美少女エロゲームが起動しないと怒るやつはいるかもしれませんが!)

    良くも悪くも、Windows陣営で孤立した独自仕様の「PC-9801シリーズ」が自然消滅する?ことは、 今後のパソコンにとっては、やっと世界並の環境になり歓迎すべきことです。

    あぁ、「信長の野望」や「A列車で行こう」がやりたくてPC-9821を買った時代が懐かしい。

    '97/9/14


    ※追加、後日この内容を書いた後に判ったのですが、このAT互換機アーティクチャ (勿論NECはAT互換機などとはいっさい発表してはいないが)というのも怪しいもので、 実際の話ではDOS/vもAT互換機用ウインドウズのインストールも動作も不可能だろうという、 NEC独自のPC97準拠、PC98一部採用の規格という、 またまた怪しい独自規格になるようです。


    注1 「PC98」

    Microsoft、Intel、Compaq等が毎年提唱するパソコンの次世代規格。

    「AGP」、「IEEE 1394」等の新デバイスサポート、新パワーマネージメント等を唱えているが、 要は、俺たちOSやCPUに都合のいいパソコン作れば「お墨付きのステッカー」を貼らせてやるぞ、 っていうような物。


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